なにかの拍子に、ふっと。
ゼロに戻りたくなるときがある。
何かが嫌になったとか、やり直したい何かがあるとか。
そういうことじゃなく。
ふわっと。
ゼロに。
言葉の通じないどこかの国で、人々が楽しそうに言葉を交わしているとき。
言葉がわからない自分は、誰でもなくて。
だから…。何かになる必要もなくて。
そう思ったら、とんでもなく自由だった、ような感覚。
静かに、静かに降り積もる雪。
白が積み重なる景色の中で、ゆっくりと白くぼやけていく、そんな感覚。
ふんわりと柔らかいルッソの風合いが、こころを真っ白にできたなら。